格ツク最強理論


「スピンオフが如く」
紹介ゲーム:ドラゴンパピー
 近年になってよく使われだした言葉の一つとして「スピンオフ」という言葉があります。作品制作におけるスピンオフというのは、ある作品から世界観を同じくして派生作品が出ることのようで、元作品では脇役だったキャラクターが主役になって活躍するというのも珍しくありません。元作品で脇役だったキャラをもっと知りたい、もっと活躍を見たい、というところからこういったスピンオフが行われることが多くなったとも言われています。

スピンオフというのは当然、元作品の上にあるわけですから元作品と合計すると実質上2作品以上で構成されると思われます。ツクール全般における格闘ツクール作品の完成数を考えるとお分かりの通り、2作品以上を公開するのは非常に難しいことですし時間もかかります。しかしながら今回、1作品の中に本編とキャラ別ストーリー、すなわちスピンオフに当たる部分を見事に導入した作品が公開されました。それが今回紹介する「ドラゴンパピー」です。

通常、格闘ゲームというとキャラクターを選択して戦うのですが、「ドラゴンパピー」にはキャラ選択の中に「ストーリーモード」というものがあります。これを選択すると、まるでRPGのようにストーリーが展開していきます。そして敵と遭遇する場面までストーリーが進むと格闘パートに突入します。動かす主人公は実質一人なのですが、他のキャラクター達はある時は敵として対峙したり、またある時は味方として協力してモンスターを倒したりと、様々な場面で登場します。一口に味方と言っても自分で判断して行動するNPCタイプと、自分で好きなときに呼び出せるアシストタイプがあって、ストーリーの展開に応じてどんどん変化していきます。ストーリーパートもかなりボリュームがあってゲームを盛り上げてくれる上、長めながらも前編、中編、後編の3つに区切ってあり、ある程度の制限はあるにせよ次のプレイでは途中から進められることも可能な親切ぶりです。そしてこれだけの重厚なストーリーだけに、本編で登場する脇役キャラクターに対して、「このキャラクターのことをもっと知りたい」「このキャラクターの出番がもっと見たい」という気持ちが生まれます。そこで登場するの がストーリーモードと並んで選択できるキャラごとの勝ち抜き戦。勝ち抜き戦は本編とは別軸での戦いですが、エンディングでキャラの性格や特徴、関係などがもう少し掘り下げてわかるようになっており、前述の「スピンオフ」的な位置づけになっているように感じます。流れ的にはストーリーモード→キャラ別勝ち抜き戦の順で楽しむといいかもしれません。

ゲームとしての「ドラゴンパピー」の面白さにも触れておきます。まず外せないのはモードの多さ。前述までのストーリーモードや勝ち抜き戦に加え、対ボス戦、乱戦バトルロイヤル、初心者モードなどもあり、それぞれに応じた立ち回りが楽しめます。さらに要注目なのはボスモンスター戦。主人公キャラに近い動作をする人型のボスや、明らかにモンスターの形をした異型のボスが登場します。後者は独特の攻撃方法や無敵状態を持ち最初は苦戦しますが、慣れてくると動きが見えるようになり自然と弱点を突けるようになっていきます。ボスを苦労して倒せたときの爽快感はかなりのものです。そして忘れてはならない本作品の特徴は簡単な操作方法。複雑なコマンドは一切無く、1ボタンで超必殺技まで出せるほどです。対空必殺技、アディションアタック、スカイドライブといった高等テクニックでも、2ボタン同時押しや移動キー+ボタン入力でOKなので、初心者でもガンガン狙っていけます。。スカイドライブで打ち上げた後の追撃はジャンプ+1ボタンで自動で行ってくれるので、いわゆる「エリアルレイブ」がいとも簡単に出せます。また攻撃面ばかりでなく、ダッシュも1ボタンで出来 る上、本作品のダッシュは出がかりに無敵時間がある緊急回避の要素も持つため、とっさに回避したいときに簡単に回避できるのも大きいです。出したい技がほぼ狙って出せるため、ストレス無くゲームが進められます。

ストーリーモードで重厚なストーリーに浸り、気に入ったキャラクターの活躍をさらに見るためにスピンオフ作品をプレイするが如くキャラを選ぶ。そしてボス戦、乱戦とやり込んでいく…。簡単操作ながら奥深い本作品をプレイして、じっくりと作品世界にはまれる快感を味わってみてはいかがでしょうか?
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