ツクールでできる!?プログラミング教育のお話

11.自分にも他人にもウソつくな、ズルするな
(普通のサイコロを1回ふったとき、8は絶対出ないよねというお話)
とあるテレビCMの中で「困るのはお利口で悪いヤツ」と言っていたのを覚えています。
今回はプログラムで簡単に作れるサイコロの仕組みを通して、
そういった「お利口で悪いヤツ」にならないでほしいというお話です。

上の画像をクリックすることでゲームへ飛びます。
今回の説明部分は2ページめくった『11.プログラムで作れるイカサマサイコロの仕組み』です。
「イカサマ」というのは要するに「ズル」。ズルいサイコロというのは人聞きが悪いですが、その仕組みを説明します。
左上の方にいる和服の人(一応、神様です)に話しかけると、サイコロを使った占いをやってくれます。
この神様のふるサイコロは普通のサイコロで、1〜6までのどれかが出ます。
プログラムは早いといういい所があることはこれまでにお話した通りで、10回連続、100回連続でふることもできます。
100回連続でふってみて、6が出た回数が多い方が勝ち…という遊び方もできます。

問題は右側の男性。顔が見るからにあやしい男ですが、この人もサイコロを使ったくじ引きをしています。
6が出たらボーナス…と言っていますが実は、この男のサイコロ「6が絶対に出ない」しかけがしてあります。
普通、6のないサイコロなんてふっていたら一発で分かりそうなものですが、ゲーム内で調べる方法はありません。

神様と男のプログラムの命令内容です。1回ふるごとに一番下の変数「サイコロふった回数」が足されていき、
最初に選んだ回数…10回とか100回になった時点で終了して結果を出す、という点では二人とも全く同じです。
では一体どこがちがうのか。ちがいはたったの一つです。

正解は一番上の命令「変数の操作:サイコロ乱数用=乱数……」のところに注目してください。
この命令は第6回でも使いましたが「ここからここまでの数値のどれかになりますよ」というものでした。
神様の方は1〜6ですが、男の方は1〜5になっています。これは男の方は1〜5までしか出ないということです。
つまり「1〜5までしかないサイコロをふらされている」ということと全く同じです。
普通のサイコロ1個をふったのでは8が絶対に出ないのと同じで、このサイコロでは6が出ることは絶対にありません。
なので100回ふるのを何度試しても、6が出る回数は0回です。
実際にこういうズルをやろうと思ったら、サイコロに細工するのも一苦労ですが、プログラムを使えば
たった1つの数字を変えるだけで、こんなにも簡単にズルいサイコロが作れてしまうのです。
しかも、ゲーム中にプログラムの命令を見ることはできませんので、ゲーム内では誰かが言わない限りバレません。
100回やって1回も出ないなんておかしい!と言いたいところですが、それを証明することはできないのです。

「え、ズルの証明ができないんならやりたい放題じゃないの?」と思うかもしれませんが、やらないのがマナーです。
特にお金が関わるところでこういうことをした場合は「犯罪」となります。捕まります。もちろん捕まらなくても、
バレなくてもやってはいけないことはしない。プログラムではやろうと思えばズルが簡単にできてしまうだけに、
プログラミングを勉強する上では絶対に持っておかなければならない心構えと考えています。

大人の人に読んでほしい、ちょっと小難しい真面目なお話
今回の話に関しては「何でわざわざ悪い事に利用できそうなことを教えるの?」と思ったかもしれません。
でもこれは「できるけどやらない、という気持ちを強く持ってほしい」という考えからです。
ここで言っても言わなくても、プログラミング的なことをちょっと学習すれば、プログラムを使えばズルが簡単に
できてしまう事はすぐに分かる事です。その上で人としてやってはいけないこととして覚えておいてもらいたいです。
また、残念なことにプログラムを扱う人の全てが善人ではありません。中にはこういったプログラムの負の面を利用して
だますことをしてくる人がいないとも限りません。そんな時プログラムのこういった側面をあらかじめ知っておき
そういった手口に引っかからないようにしておく。今は子どもでも簡単にプログラムの絡むネット社会に踏み込める時代。
こういった知識無しでそういう社会に入るのはあまりにも無防備です。
だからといってネット社会から遠ざけるのは「刃物は危ないから絶対使わせない。はさみを学校では使わないでほしい」
などと言っているようなもの。その危険性を教えながら上手に付き合っていくことの方が大事だと考えています。
「危険だと思っているうちは安全である」という言葉もあります。そういう意味でも今回はプログラムの危険な一面を
扱わせていただきました。そういうこともあるんだよ、という理解の一助になれば幸いです。


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