※これは「ツクールアドベントカレンダー2021」12/25の記事です。

「拝啓『元』ツクラー様」
「ツクールは『道具』。離れるなら、それもいい」
自分が気にしているだけなのか、それとも本当にそうなのか、実際に数を数えたわけではないので
正確ではないかもしれませんが、今年は例年になく自分の知っているツクラーさんの引退、活動休止、
目に見える形での制作意欲の低下を目にしたような気がします。

今までの自分であれば「引退は寂しい。出来れば一緒にツクラーであり続けて欲しい」という気持ちを
前面に押し出していたのですが、最近になって「離れるなら、それもいい」とも思うようになりました。

それも含めて25年以上、ツクールを使い続けてきましたが、ここに来て少し気持ちも変化しました。
その心境の変化に至った経緯も含めて、この機会に書かせていただければと思いました。
2021年ツクールアドベントカレンダーのラストを飾るに相応しい内容かどうかは怪しいですが、
どうぞお付き合いいただければ幸いに感じます。

1.ツクールは「道具」。ゲームを作るため「だけ」に使わなくてもいい。
2.ツクールが大好きだから言える「離れるなら、それもいい」
3.意外なところに結構いる『元』ツクラーさん
4.拝啓『元』ツクラー様。
5.終わりに…これからツクールに触れる方へ。
1.ツクールは「道具」、ゲームを作るため「だけ」に使わなくてもいい。
道具なのだから、いろんな使い方をしたっていい。
自分は基本的に「ツクールはゲームを作るもの。使うからにはゲームを作りたい」という、ある種の
先入観のようなものがあったのですが、よくよく振り返ってみると、ツクールはゲームを作るため
「だけ」のツールではありません。良い例えかは分かりませんが、例えばバスケットボールがあるとします。
もちろんバスケットボールをプレイするための道具ですが、使い方はバスケットボールとして「だけ」とは
限りません。場合によってはドッジボールのボールとしても使用してもいいし、それこそ小学校の遊びとして
空のペットボトルをピンに見立ててボーリングの玉として利用したっていい。そういう「道具」としての
ツクールの可能性を自分は自ら狭めていたのかな…と考えていました。そして外に目を向けると、見事に
ゲーム制作「だけ」ではないツクールの使い方、可能性をいくつも見ることができました。

ツクールフォーラムの企画だけでも「スキットコンテスト」「バレンタインイベントコンテスト」
「ボスバトルコンテスト」そして「オリキャラコンテスト」などなど。1つの完成された
ゲームを作るだけでなく、会話・イベント・バトル・キャラ・マップなどなど、要素に絞った、
こういった使い方、楽しみ方もあるんだなと再認識しました。

もう一つ衝撃的だったのは、アツマールで展開されている「バカゲーコンテスト」。
「バカゲー」の「ゲー」はゲームの略なのだから、投稿されるのはゲームであって然るべき、とここでも
自分の近視眼を炸裂させて「投稿するからにはゲームを」とゲーム性で勝負する作品を投稿しました。
結果として生放送では評価も頂いたのですが雰囲気的に「あれ、ちょっと違うかも」と感じたのも事実。
他の投稿作品を見てみるとゲーム的要素は薄いけれど、それが問題にならないくらい面白い、個性的な
作品が並んでいて、それでかなりの爆笑を誘っていました。そして結果としてそれが受賞する。
ツクールって「ゲーム」が全てじゃない、を強く思い知らされたコンテストでした。
皆さんツクールという「道具」を活用して本当に楽しく遊んでるな…そうも感じました。
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2.ツクールが大好きだから言える「離れるなら、それもいい」
世の中にはツクールより大切なものも沢山ある。
ツクラーさんがツクール制作から離れるのはとても寂しい。これは揺るがない事実ではあるのですが、
ツクールは前述の通り「道具」。自分はツクール制作は「遊び」と考えているので、ある種の「オモチャ」
とも言えるかもしれません。1つのオモチャを長年使わなければならないなんてルールは無いですし、
あってはならないと思っています。そんな堅苦しいルールがあったらそれはもう「遊び」ではありません。

飽きたのならば使わなくなってもいいし、他にもっと魅力的なものがあるのならそちらに移ってもいい。
自分はツクールが大好きで当面、離れるつもりはありませんがそれはあくまで自分自身の話。他の方には
もっと魅力的に映る、大好きなモノ、大切なモノが見つかったのであればそちらを大切にしてほしい。
ツクールが大好きだからこそ「世の中にはツクールより大切なものも沢山ある」というのもよく分かります。
そういう意味も含めての「離れるなら、それもいい」という考えです。

あとは少なからずお見かけするのが「この人ツクール制作苦しそうだな…」と感じる方。
楽しいはずの「遊び」なのにものすごく辛そうに制作しているのは見ているこちらもちょっと辛いです。
そういう方には「離れるのも選択肢だよ」と伝えてあげたいのも事実です。
ツクール制作は他の事を削ってまで、自らを消耗してまで大切な事かと言われれば、正直なところ疑問です。

冒頭のように「引退は寂しい。出来れば一緒にツクラーであり続けて欲しい」と考え続けていた自分が、
まさかのまさか、この心境に至ることになるとは思っても見ませんでしたが…。
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3.意外なところに結構いる『元』ツクラーさん
よっぽど自分より上手くツクールと付き合っていた『元』ツクラー。
実生活(ネット以外という意味での)ではゲーム制作をしていることは公表しておらず、
ツクール制作以外の趣味はゲームくらいしかやって来なかった自分ではあるのですが、
縁あってゲーム制作関係とはちょっと違うコミュニティでお話しさせてもらう機会が増えました。
もちろん実際に顔を合わせて…ではなく、インターネット上ではあるのですが…。

その中で不意にツクールの話になった時に「実は自分もツクール触ってました」という方が意外なほど
多かったのには驚かされました。自分から言う方が少ないだけで「潜在ツクラー」は結構いると感じます。
その方々に共通している事としては「ツクール制作は良い思い出」「好き勝手色々やって楽しかった」
「ゲーム制作が疑似体験できて貴重な経験だった」などなど圧倒的にツクールに対して好意的な意見が
多かったこと。どの方もとても素晴らしい方で、共通しているのは「今はもう使っていない」という
ことなのですが、楽しむだけ楽しみ、頃合いを見て卒業し別の趣味に移る…。本来の遊びの道具としての
使い方を見事にしていらっしゃって、ある意味25年使い続けている自分よりよっぽど上手くツクールと
付き合っていたんだなと思い知らされます。

ほぼほぼメインの趣味がツクール制作だけだった自分が急に薄っぺらく感じてしまった寂しさはあれど、
ツクールは自分が思っているよりずっと幅広い方に認知されているんだなと少し嬉しくもなりました。
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4.拝啓『元』ツクラー様。
離れてもいいなら、続けてもいい。そして、いつでもまた戻ってきてもいい。
今年、ツクール制作から離れた方が多く感じたのは寂しく感じる一方、実は意外な方が『元』ツクラーで
あることも知れて「ツクールも捨てたもんじゃないでしょ?」的な感覚を感じたのも事実。

新たな趣味を見つけてそちらへ移行した『元』ツクラー様。
ゲーム制作に挑むも惜しくも夢破れ離れていった『元』ツクラー様。
自分には合わないと早くに見切りを付けた『元』ツクラー様。
キャラやイベント作りに勤しみ、自分なりの楽しみで楽しんだ『元』ツクラー様。
ツクールからステップアップし、遂には商業化や自作アプリ開発に辿り着いた『元』ツクラー様。
長くツクールを愛用し、ツクールを使い尽くした後、ツクールに別れを告げた『元』ツクラー様。

自然と、または様々な理由でツクールを離れた『元』ツクラー様へ。
ツクールを離れても、ツクールで培った能力や経験を活かして他の趣味や、まして仕事など、
さらなる高みで活躍をされているのならそれは素晴らしい事だと思います。
「ツクール制作をやっていたからこういう事ができます」「あのツクール経験が今の自分を支えています」
こう胸を張って言える、書ける。それだけでもう本当に素晴らしい。
そこまで行かなくても「昔ツクールで使ってたよ。見事に挫折したけど」とか「そういやあったねそんなの」
などなど、話のネタの一環として、笑い話に出来るのもまた素晴らしい。

あいにくと夢幻台は「ツクールをやっていたからこういう事が出来ます」という域には達しておらず、
RPGツクールSUPER DANTE発売から25年以上、未だに鳴かず飛ばずのツクラーを続けています。
「ツクールなんてまだやってんの?」「25年やっててこの程度?」「それでお前は何を得た?」などなど、
非常に耳の痛い、返答にも困るツッコミが来そうで、まして実生活でツクラーを語ることは、恥ずかしさと
情けなさ、ネタにすら値しない場のシラケ具合と侮蔑の視線が容易に想像できるのでとても出来ませんが…。
ツクールから離れるのが1つの道なら、ツクールにこだわり続けるのもまた1つの道だと思っています。
この道の先がどこに続くのかは分かりませんが所詮は趣味・遊びの範疇。のんびり歩こうと思います。

そして「離れるなら、それもいい」と書きましたが、それなら逆に「戻って来るなら、それもいい」です。
ツクールは「道具」。また気が向いた時に、倉庫の奥から引っ張り出して、ちょっと遊んでみたり、
またはそこから火がついて「もう1回やってみようかな」と思ったのであればそれもいいと思っています。
ツクラーに本当の意味での「引退」はありません。資格も要りません。気が向いたらいつでも戻ってきて
ツクラーを名乗り直してもいい。それくらい気軽なものであって欲しいと思う限りです。
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5.終わりに…これからツクールに触れる方へ。
ツクールはどう使ってもOKなツール。軽い気持ちで。
これからツクールに触れる…という方もいるかもしれません。そういった方にアドバイスというのも
おこがましいかもしれませんが「軽い気持ちで。あまり気負わなくていい」とお伝えしたいです。

繰り返しになりますが、ゲームを制作している方の進捗状況を見て「産みの苦しみ」と言わんばかりの
苦しい状況を載せているケースが結構あります。もちろんそれは苦しさを乗り越えた先にゲームの
完成があるからこそ、なのですが、正直なところゲームは完成させられなくてもいいと思っています。
作りたいときに起動して、作りたいものだけ作って、それを見たり動かしたりして楽しんで、
もういいやと思ったら離れてもいい。そしてまた気が向いたら起動してちょっと作って…、くらいの
ゆっくり、まったり、のんびり…そんな使い方で丁度いいツールかも知れません。
今年、亡くなったツクールの先駆者・桃栗たき子さんはRPGツクール2の攻略本の中で、
「さつまいもチップスをかじって、プッてな感じでゲームを作りたい」と書かれていますが
まさにそんな感じで、気軽に触れて気軽に作っていい。それがツクールだと思っています。

もちろんガチガチの大作を作りに行くいわゆる「ガチ勢」も大歓迎なのですが、自分にとってツクールは
遊びの範疇ですし、そこで「ガチ勢」と「エンジョイ勢」がケンカしてほしくはないなあ…とは思います。
使い方は人それぞれ。どう使ってもいいし、気の向くまま離れても戻ってもいい。そんなツクールで、
そしてツクール界隈であり続けて欲しいと切に願っています。
このページ先頭に戻ります。


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