格ツク最強理論


「ネタという名の味付けをどうぞ」
紹介ゲーム:Shadow Arts
 一言に「ネタ」といっても、その意味の広さは人によって様々です。極端な言い方をすれば、ゲームというものは全編を通してネタだらけ、ともいえるかもしれません。どこからどこまでをネタとしてよいか、という議論はとりあえず置いておいて、今回の最強理論ではネタというものを、技やキャラを見たときに「これ、どこかでみたことある…!」と感じたり、笑ったりする、いわば「元ネタのあるもの」として考えていきたいと思います。

ネタというものは非常に便利なものです。とかくビジュアル面が重視されがちの格闘ゲームにおいては、ちょっとしたネタをスクリーンショットに載せておけば「おお!何だろうこれ」と見る人をひきつけることが出来ます。少なくとも見た目だけに関して言えば、面白さがわかりやすいのです。それを前面に押し出した作品を作る…、みんなにプレイしてもらいたいゲームを目指すのであればそれも当然の判断の一つだと思います。しかし…ネタの見た目に誘われてプレイはしてみたものの、操作性がよくない、CPUが強すぎる、一部のキャラ、技が強すぎる、肝心のネタ技、ネタキャラが使いにくい、などといったマイナス面が多く出てきてしまうと、1度プレイして終わり、となってしまい何度も繰り返して遊んでもらえないゲームとなってしまいます。面白い格闘ゲーム=何度も繰り返しプレイしてもらえるものだと思いますから、従って「ネタというものは確かに便利だけれども、それ「だけ」が魅力のゲーム、それ「だけ」に頼るゲームでは格闘ゲームとして面白い作品にはなり得ない」というのが私の考えです。

今回取り上げた「Shadow Arts」という作品。遊んでみるとわかるのですがかなりのネタの宝庫です。技名から「どこかで聞いたことがあるなあ」といった技がちらほら。キャラグラフィックからは判断が難しいですが、中には技を出してみて「!!!」とビックリするネタ・笑えるネタもあったりします。…がこの作品ですごいところはそういったネタがあるということではありません。真にすごいと思うのはこれだけのネタが含まれていながら、それらのネタに関して「ホームページなどで全くといっていいほど触れられていない」ところです。コンセプトは「お手軽、お気軽、女だけ」だそうで、ネタを前面に押し出すことは一切行われていません。他の作品ならば目玉になり得るクラスのネタでさえ、本作では作品の一部分、つまり「味付け」の要素に押さえ、その分本作そのものの魅力を押し出していると考えられます。極端なことを言えば、ネタが必要ないんじゃないかと思うくらい本作独自の魅力が前面に押し出ていると言えるでしょう。

体力ゲージが画面下、スペシャルストックが画面上に表示、画面上部にかなり大きめの情報スクリーン(ピンチになるとDANGERやCAUTIONが表示)などなど、他の格闘ゲームとは一味違った感覚で楽しめます。システムは比較的わかりやすく、超必殺技もとても出しやすい親切設計です。ゲームスピード・難易度ともに今時の格闘ゲームと比べるとやや抑えられているので、興味本位で本作に触れてみた人でも投げ出さずに楽しめるように仕上がっているところもすばらしいです。そしてゲーム全般に漂う電子的(抽象的な表現ですが)な世界観、そこへ味付けとして投入されたパソコン・ゲーム関連中心のネタたち、これが絶妙な演出を魅せてくれています。見て楽しい、動かして楽しい、勝てて楽しい、とさまざまな楽しさを提供してくれています。現在はまだ製作中だそうですが、最新版(2005年9月現在)でついに中ボスまで登場した本作(この中ボスはなかなかの強敵です)。対戦の合間に見え隠れするストーリーや残るラストボス、各キャラに残されたLV3の超必殺技などなど、残りの更新も待ち遠しいです。そろそろかなと楽しみにしている頃に更新される、作品の更新スピードの早さも魅力の一 つです。

他の作品ならば目玉となり得るクラスのネタで味付けされた「Shadow Arts」。きっと皆様のお気に召すと思うのですがいかがでしょうか。
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