格ツク最強理論


「シンプルさが生む真の心理戦」
紹介ゲーム:動物格闘
 いつの頃からでしょうか。格闘ゲームは読み合い重視、コンボ重視というようにいくつかの流れというか、流派というものが出てきたような気がします。読み合い重視のゲームでもそれなりの連続技はあるし、コンボ重視のゲームでもそのコンボを決めるまでの過程において読み合いは発生していますから、もちろん「100%読み合いゲーム」とか「100%コンボゲーム」といったものではありませんが…。今回はそのうちの片方、読み合いについて考えていきたいと思います。

読み合い・心理戦として最もポピュラーなのはジャンケンかなと思います。グー・チョキ・パーの3すくみの中で、相手が何を出すかお互いに読み合って出す。格闘ゲームに置き換えてみると、一つの例としてガード・投げ技・無敵技の3すくみが挙げられます。ガードすると読んだ場合は投げが有効手段ですし、投げに来ると思ったら無敵技で返します。無敵技はゲームバランス上、ガードすればスキがあるものがほとんど。つまり「投げはガードに勝ち、無敵技は投げに勝ち、ガードは無敵技に勝つ」というジャンケンのような3すくみが成立します。しかし…、この読み合いには一つ「プレイヤーが無敵技のコマンドをしっかり出せること」という条件がつきます。格闘ゲームが苦手で、もし無敵技コマンドが出せないということになれば当然、出す選択肢から無敵技は消えます。言うなればパー無しでジャンケンをするようなもの。これではどんな良質なゲームでも読み合いを楽しむことは難しいと言わざるを得ないでしょう。そこで…。

今回紹介する「動物格闘」。コマンドはとことんまでシンプルに出来ています。使用ボタンは3つ。無敵技に該当する「ガード&アタック」も後ろに引きながらボタンを押すだけ。コンボでさえもボタン連打でかなり簡単につながります。ほんの少しゲームに慣れるだけで、ほとんど全ての技が使えるようになり、かなり早い段階で、初心者・上級者が同じ土俵での読み合い・心理戦を楽しむことが出来るようになるのです。投げに来る、と思ったら打撃(本作では打撃モーション中は投げることが出来ませんので投げと打撃では打撃が勝ちます)、…その打撃を読んだならガード&アタック、…が来ると踏んだらしゃがみガードすれば反撃確定、…ガードで固まるのなら下段投げに行く、…と思ったら打撃でつぶす……、というような心理戦がボタン一つでしっかりと楽しめるわけです。

キャラクター数も多く、グラフィックもユニーク。そしてキャラごとにしっかりと特徴があることも見逃せません。打撃によるコンボが強いキャラ、ガード不能の高威力技を持つキャラ、技の発生が早いキャラ、などなど。前述のジャンケンの例にたとえるなら、打撃によるコンボが強い=グーで勝ったら2倍のポイントがもらえる、ガード不能の高威力技=あいこでも負けになるかわりにもし勝てば5倍のポイントがもらえる、技の発生が早い=あいこでも勝てるかわりに勝ったときのポイントが少なめ、というように様々な特殊ルールがついたと考えることが出来ます。グーで勝ったら1歩、チョキなら2歩、パーなら5歩進めるというルールでジャンケンをしたとき、圧倒的にパーの率が高くなる人に心当たりはありませんか?単なる3すくみに、こういった特殊ルールをつけることがより深い考えを生み、より高度な心理戦へと導いてくれるものなのだと思っています。

各キャラを使ってみるとその個性、いわば特殊ルールはどれも一長一短で、自分の好きなキャラを使っていけます。この絶妙なゲームバランスも「動物格闘」の魅力の一つだと思います。シンプル操作でほとんどの技がすぐ出せる、高いダメージレベルでまぐれ勝ちあり、そして基本が1本勝負、これだけ初心者でも勝つチャンスが与えられているゲームも珍しいのではないでしょうか。キャラタッチも温かみがあるので低年齢にも自信を持ってオススメできる本作。ぜひプレイして「格闘ゲームは複雑で難しい」というイメージを少しでも和らげてくれたなら、これ幸いに感じます。
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