格ツク最強理論


「時を越えて残るもの」
紹介ゲーム:Chaos Side
 ゲームの流行、廃りについて考えていきたいと思います。昔と違い、いまや一週間に二桁を超える新作ゲームが発売されることも珍しくなくなりました。フリーソフト、フリーゲームに関しても、いまは次から次へと新しいものが出ている、そんな時代です。その中で先々まで語り継がれていくもの、残念ながら記憶から消えてしまうもの、両方が存在するわけなのですが、一体その線引きはどこで行われているのでしょうか。

市販格闘ゲームに「ストリートファイターVサードストライク」というゲームがあります。初出から6年が経過しているこのゲーム、いまだにアーケードで現役稼動している店が少なくありません。時を越えて残っているすばらしい作品だと思っています。ただ、何故この作品が残っているのか、その理由を考えると返答にすごく悩みました。ブロッキングシステムがあるから?…それならば同時期やその後にそれに類似したシステムを持つゲームが発表されているはず。演出がかっこいいから?…それもタイプは違えど、演出のすばらしいゲームならその後に発表されてきているはず。キャラ数やゲームバランスに関しても同じことです。確かにキャラ数も多くバランスも取れている「ストリートファイターVサードストライク」ですが、同レベルのゲームバランス、それ以上キャラクター数を誇っていた格闘ゲームならその後にかなり発表されてきているはずなのです。それなのに何故、この作品が生き残っているのか…。

自分としての結論は、月並みで何のひねりもない言葉ですが「プレイしていて面白いから」だと思うのです。システムがいいとか、バランスがいいとか、演出がいいとか、理由をつけることもできるのですが、それが面白さに直結していなければ、やはり長い目で見られたときに廃れていってしまうのではないかと思います。最強理論第4回でも同じ言葉を使いましたが、結局一番大事なのは「面白いか面白くないか」だと思うのです。

今回紹介する「Chaos Side」、この作品の初出はおよそ2年ほど前になります。しかしながら今現在でも十分通用する面白さの作品。基本の操作はシンプルで入りやすく、少し格闘ゲームに慣れている人なら必殺技やチェーンコンボなどもすぐに出せるはずです。かといってコンボゲームというわけでもなく、リーチの長い牽制技を持っていたり、高性能の飛び道具や中段攻撃を持っていたりと、キャラごとの立ち回りや読み合いも可能。何度か動きを見ていくうちに対処法が見つかって攻略できるボスキャラの存在や各キャラクターごとのエンディングの存在で、CPU戦も充実。…とこのように、作品のウリを挙げようと思えばかなり挙げられるのですが、最も大きなウリはやはり「プレイしての面白さ」だと思います。「この作品はここが見所!」と面白い部分を限定するのではなく、読み合いもコンボも、ストーリーもキャラクターも、ヒット感もCPUも充実。すなわちプレイヤーがどういう楽しみ方をしようとしても、ゲームのどこを楽しもうとしても、しっかり楽しむことが出来る間口の広さ。これこそが2年たった今でも本作が面白いと感じられる理由ではないかと思うのです。読み合い・コ ンボ・世界観…など各要素の絶妙なバランスが生み出す「プレイしての面白さ」はなかなか出せるものではありません。

ゲームが時が経っても残れるかどうかというものは、作った瞬間からわかるはずもなく、実際に時が経ってみないとわからないところが多いです。それが時を越えて残る作品作りというものをいっそう難しくしていると思いますし、それだけ残った作品にはとても大きな魅力があります。この「Chaos Side」をプレイしてみて「時を越えて残った作品」のよさを体感してみてはいかがでしょうか。
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