格ツク最強理論


「ロールプレイング格闘ゲームの幕開け」
紹介ゲーム:妖〜あやかし〜
 ゲームのジャンルというものについて考えてみたいと思います。アクション、シミュレーション、RPG、アドベンチャー、シューティング…、そして格闘ゲーム。ほとんどのゲームはあるジャンルに分類することができます。また中には2つのジャンルの要素を持ったゲームも存在します。アクションアドベンチャーや、ロールプレイングシミュレーション(いわゆるSRPGと呼ばれるもの)などがその良い例です。双方のジャンルの良い面を併せ持ち、新たな面白さを生む2ジャンルの融合。では、格闘ゲームとロールプレイングゲームが合わさった「ロールプレイング格闘ゲーム」というのはどうでしょうか。

実際、市販のアクションRPGでも、戦闘時にコマンド入力したり、自分だけのコンボが作れるようになったりなど、格闘ゲームの要素がかなり使われています。ですが今までそういったものは、基本はRPGで「RPGの中に格闘ゲームの要素が入っている」ものでした。では、それが逆転したらどうなるか、基本が格闘ゲームで「格闘ゲームの中にRPG的な要素が入っていたらどうなるか」 それが一つの形となって具現化したものがこの「妖〜あやかし〜」ではないかと思うのです。

この「妖〜あやかし〜」というゲーム、とてもストーリーが充実しています。他の作品と比べるのは良いかどうかはわかりませんが、自分が制作した「カレンダーレイブ」のストーリーよりも数段練りこまれています。そもそも格闘ゲームにおいて、ストーリーはあくまでおまけ的な要素が強く、メインである格闘部分のウエイトが非常に強いと思います。そういった格闘ゲームの現状において、この「妖〜あやかし〜」では、小説調の文章&各キャラクターの会話シーンという2段構えのストーリーが、何と各ステージごとに挿入されています。しかもその1話1話の内容が濃く、いわゆる「消化試合」的なものがありません。こういったストーリーの奥深さが、先へ進む楽しみを生み、RPGで例えるなら、早く先が見たくてレベルアップも忘れて次のダンジョンへ進む感覚でしょうか。さらに自分が選んだキャラ以外のキャラ、すなわち敵役に当たるキャラの会話もなかなか凝っていて、一度クリアしたキャラでも、違うキャラのストーリーで出てきたときに「このキャラってこんな一面もあるんだ…」と、新たな発見をすることもありました。そしてRPGにおける重要な要素「レベルアップ」ですが …、これも事実上存在すると言えます。このゲームは絶妙な難易度で、特にラストボスの強さがクリアの大きな壁になります。でも先が見たいのでとにかくコンティニューして再チャレンジ。何回も挑戦していくうちに勝ち方が見えてきて、プレイヤーの腕も上がり、数回目の挑戦で倒すことができる、というちょうど良い難易度です。ゲームそのものにレベルアップのシステムはないのですが、レベルアップするのはキャラクターではなくプレイヤー自身というわけです。RPGのように単純に数値で出るより、自分自身の実感やクリアという結果として感じ取れる「レベルアップしたという感覚」はなかなか格別なものです。

「妖〜あやかし〜」のRPG的な部分ばかり取り上げてきましたが、格闘ゲームとしても完成度の高い作りです。比較的簡単につながるコンボ、使いどころを考える楽しみを生むゲージシステム、そして相殺を利用した独自システム「逢魔が刻」など、一つの対戦格闘ゲームとしても存分に楽しめます。またシステムだけでなく、キャラ一人一人も個性的で、連続技が豊富なキャラ、オプションを張り巡らせて相殺を誘い「逢魔が刻」を狙うキャラ、中には当身が大きなウエイトを占めるキャラもいて、キャラを替えるごとに新鮮な気持ちでプレイできます。各キャラの最強技では、大迫力の演出も入り、技を出す楽しみ、当てた爽快感も倍増です。

ロールプレイングとは「役割を演じる」という意味があります。そして自分の意思どおりに動かせる格闘ゲームという舞台では、より感情移入もでき、役に入りやすいのではないかと思うのです。ぜひ「妖〜あやかし〜」をプレイして個性豊かな妖怪たちを演じてみてはいかがでしょうか。
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