格ツク最強理論


「(仮)だっていいじゃないか!」
紹介ゲーム:SLASH(仮)
 ゲームの完成・未完成について考えてみたいと思います。今回で言う「完成」というのは、ストーリー、登場キャラ、デモ等一つの作品としての要素が全てそろっているものとします。まだ登場予定キャラが全て出ていない、ストーリーがあるゲームなのに入っていない、などのゲームは「未完成」と定義します。そうやって考えると格ツク作品の大半は「未完成」であると考えることが出来ます。一口に未完成といってもキャラが1人しかいないものから、あとはデモ演出を残すだけのものまで完成度の差はありますが。

ただ、「完成品」>「未完成品」という式が必ずしも成立するとは限らないのです。というのは、いまだに開発中でありながら「これ本当にまだ開発中なの?」と疑うくらい完成度の高い作品があります。前回紹介の「LIGHT DESTINY」、前々回紹介の「EVER NIGHTS」そして今回紹介する「SLASH(仮)」、いずれも開発中の作品でありながらとても高い完成度を持っていて、十分に楽しめます。私自身、カレンダーシリーズを作っているときは「とにかく完成にこだわりたい」「中途半端な作品を見せるのはプレイヤーの方に失礼」という気持ちがあって、一通り完成するまで全く公開しないでいたのですが、もしかするとその考え方も改めなければいけないかな…、と思い始めました。もちろんゲームが起動できない、とか致命的なバグがあってまともに楽しめない、といった状態で公開されるのはちょっと困りものですが、そうでないなら途中段階を遊んでもらうのもありなのかな…と。結局一番大事なのは「完成品か未完成品か」ではなく、(さらに言うなら「企業が作ったか素人が作ったか」でも「一人で作ったか共同制作したか」でも「フリーウェアかシェアウェアか」でもなく)「面白いか面白くないか」なのではないでしょうか。

この「SLASH(仮)」というゲーム、実は自分はかなり前のヴァージョンからプレイしています。(確か)キャラが7〜8人でBGMは無く、ラストはロボットっぽいボスキャラがいました。その頃からこの独特のヒットストップが自分好みで、キャラ追加されるたびにダウンロードしてプレイしました。ヴァージョンによっては6対2という変則的な試合が出来たときもありました。少しずつ完成に近づいていく様子を実際にプレイしながら感じることが出来る、「完成するまで公開しない」という考え方では味わってもらうことの出来ない楽しさです。新ヴァージョンになって、いつの間にか旧キャラの対戦順も実は変更になってたりと、細かい配慮もすごいなと感じます。最新版ではキャラによっては仮ボスキャラ登場や1対2での変則試合も楽しめます。難易度は高めですがクリア目指してがんばります。

ゲーム性に目を向けてみると、対戦では近距離〜中間距離での駆け引きが面白いです。というのもこのゲームは通常技をガードされた後に不利になる状況が多く、通常技ガード後に最速で相手が反撃してくると確定ヒットしてしまうことが多いです。しかしながらこのゲームは通常技キャンセルでさまざまな技に派生が可能(立ち大>しゃがみ大や、しゃがみ大>特殊入力技など)で、ガード側が最速反撃をしようとするとこの派生技に引っかかります。このバランスにより通常技をガードした後に、攻撃側は「相手がガードで固まるか反撃技を出してくるか」、防御側は「相手が途中止めするか派生技を出してくるか」を読んで対処しなければならず、攻防に読み合いが生まれます。そしてこのゲームはコンボのダメージ比率が大きく、読みが当たった後にしっかりとコンボを決められるかどうかも勝負の分かれ目になります。コンボはそれなりに難しいのですがそれを逆手にとって、対CPU戦などで練習する楽しみが生まれています。↑のスクリーンショットのコンボ、決まったときは爽快でした。

まだ未登場キャラやストーリーを残しているようなのですが、とても面白いゲームです。今後の更新も最新版をダウンロードしていきたいと思います。皆様もぜひプレイして、作品がさらによくなっていく現場に立ち会ってみてはいかがでしょうか。
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