格ツク最強理論


「2つの顔を持つ小技」
紹介ゲーム:LIGHT DESTINY
 格闘ゲームのゲームバランスについて考えてみたいと思います。格闘ゲームにおいて各キャラクターは実にさまざまな技を持っています。攻撃力が高いがスキが大きい、リーチは短いが出が早い、発生は遅いがコンボの起点になる、など各技ともにさまざまな特徴を持っています。ほとんどの技は、その性能が一長一短で、その性能に応じて「けん制技」「中段技」「コンボ始動技」など、役割が決められます。たまに「リーチが長くてスキも少ない」とか「出が早い上にコンボの起点になる」などの「高性能技」、反対に「出が遅くてスキも大きい」「リーチが短く威力も低い」などのいわゆる「死に技」というものもありますが…。ただ全てに共通して言えることは、「この技はけん制に使える」「この技は対空技になる」「この技は何にでも使える万能技」というように役割は「技」単位で考えられているということです。

このように「技」単位で考えた場合、当然技数の多い方がゲーム性に幅が出来ます。ですが格ツク作品の場合、大抵が個人製作ですので多くの技を作るのは非常に大変です。少ない技数でゲームを組み立てようとすると、どうしても役割が少なく単調になりがちで、それであせって技の性能をいじると「それだけやっていればOK」というゲームバランス崩壊ものの万能技が出来上がったりするので非常に苦しみます。現にカレンダーレイブでも通常攻撃3種(+特殊入力1種)だけでゲームを組み立てるのは少し苦労しました。 しかし比較的少ない技数で、多くの役割を持った技を作り上げ、ゲームバランスの調整に成功している作品があります。それがこの「LIGHT DESTINY」です。

「LIGHT DESTINY」の小攻撃は「コンボ始動技」と「けん制技」の両方の役割を持っています。こう書くと「けん制で振り回しつつ、ヒットしていたらコンボが狙える万能技」と考えられがちですが実はそうではありません。本作では通常技でのコンボは「ほぼ最速のタイミングでつながないと連続ヒットしない」という特徴があるのです。つまり、けん制で振り回していたのが当たったのを見てから中攻撃を出したのでは、相手のガードが間に合ってしまうのです。つまり「けん制目的で使った小攻撃はコンボ始動技にはなり得ない」というわけです。逆にコンボを狙っていた場合、小攻撃がガードされたのを見てから中攻撃をひっこめる、というのはタイミング的にほぼ不可能です。当然中攻撃は小攻撃よりスキが大きいですから、小攻撃のけん制技としての性能は消滅しています。つまり二つの役割を持っているものの、その二つの役割が重なることが無く、同じ小攻撃なのですが二種類の技を使い分けているような感覚になります。本作において役割は「技」単位のみならず「状況・プレイヤーの狙い」でも分けられる、ということです。

「状況・プレイヤーの狙い」によって役割が分けられるのは通常技だけではありません。必殺技についても同様のことが言えます。本作では「レベルアップシステム」を採用しています。本作においてゲージがたまるということは、単に超技が出せるようになるだけでなく、必殺技の性能が変化する時でもあるのです。しかもけん制技が突進技になったり、突進技が対空技になったりと、結構ダイナミックに変わります。しかも中には「レベルが上がるとかえって使いにくくなる」という技もあり、自分の戦いやすいレベルで戦うことが重要になります。「この技は使える」「この技は使いにくい」と技単位で考えていたものが「この技はLEVEL2以降は使える」「この技はLEVEL1が一番使いやすい」などレベル、つまり状況をも考慮に入れなければならない、これがゲームの幅をさらに広げていると思うのです。

ストVシリーズのブロッキングの上下段の区別をなくした「フォースシールディング」や1ボタンで出せる超技など、初心者にやさしい作りです。また上で「通常技はほぼ最速のタイミングでないとつながらない」と書きましたが、狙ってつなぐのは難しくないので十分コンボを楽しむことも出来ます。状況判断・読み合いが熱い「LIGHT DESTINY」、格闘ゲーム初心者の方にもぜひお勧めしたいゲームです。
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