格ツク最強理論


「オリジナルとコピーの境界線は何処に?」
紹介ゲーム:EVER NIGHTS
 こちらからもリンクを張らせていただいている「I-POWERS」というサイトには格闘ツクールの質問掲示板があり、そこでいろいろなテクニックの情報交換が行われているわけですが、そこで結構ある質問が「○○のような技(キャラ・ゲーム)が作りたい」というもの。市販ゲームから面白い技や演出を真似るのはいいことだと思いますし、実際私も市販ゲームの演出を真似て作ったこともあります。ただそこで気になるのは「○○のような技(キャラ・ゲーム)が作りたい」のか「○○が作りたい」のか、言葉で書くと両者の違いは無いようにも感じますが、その違いだけで自作ゲームの魅力は大きく変わってくると思うのです。

私は前者「○○のような技が作りたい」というのは歓迎しますが、後者「○○が作りたい」というのは正直どうかな、と考えています。格ツク作品(格ツクに限らず、フリーソフト全般において)に感じる魅力というのは、第一は当然「面白さ」ですが、それとは別に「市販ゲームには無い格ツク作品(フリーソフト)らしさ」だと思います。いい言葉で言えば手作り感、オリジナリティ、悪い言葉で言えば素人っぽさ、とでもいいましょうか。
「○○が作りたい」といって実際にそれだけの技術を持っている人がいて、○○と寸分たがわぬもの、いわば○○のコピーが出来上がったとします。市販と同レベルですから確かにすばらしい出来でしょうが、格ツク作品の魅力のひとつであったはずの手作り感、オリジナリティが損なわれてしまうのではないかと思います。さらに言うと「すばらし過ぎる」ということが「これだったら市販のゲームをプレイしたほうがいい」というマイナス面に働いてしまうかもしれません。

技やキャラがコピーといわれるかどうか、つまりオリジナルとコピーの境界線は、人によっても違うと思いますし自分でもはっきりとはわかりません。ですが幸いにも今出回っている格ツク作品はほとんどが前者で、「これ○○みたいだ」というものはあっても「これは○○そのものだ」と言うコピーものはほとんど無いと思っています。どの作品も、参考にした技やキャラや作品はあれど、うまく自分なりにアレンジして「自分のキャラの技・キャラ・ゲーム」つまりオリジナルものに昇華しています。そういった作品の中でも私がひときわすごいと感じた作品がこの「EVER NIGHTS」です。

ざっとシステムを見てみると市販ゲームのギルティギアシリーズと似ている部分があります。たとえば2段ジャンプ・空中投げ・空中受身が出来てダウン後は移動できないところ、ブレイクアタックはダストアタック、リバイバルキャンセルはサイクバーストと、それぞれ似ています。がそれは「似ている」であり「そのもの」ではありません。ブレイクアタックは相手を浮かせず、有利になる技ですし、リバイバルキャンセルにゲージは存在せず、1ラウンドで1回使用可能です。つまり面白いと感じるシステムを作者さんが自分なりにうまくアレンジして「自分の作品の独自システム」として発展させています。そしてそれが見事に面白さに直結しています。
キャラクターに関してはもオリジナルそのもので、動かしていて楽しいキャラたちばかり。しかもこの作品独自の駆け引きやコンボも多数存在し、ここまでくれば本作にはコピーものと感じる余地もなく、完全オリジナル作品といえるのではないでしょうか。
最近(2004年11月)も更新され、更なる完成度へ向かう本作。個人的なことですが、こんなに更新が待ち遠しかったゲームは久しぶりです。

「完全コピー作品が絶対に悪い」とはいいません。ですが、ぜひこの「EVER NIGHTS」をプレイしてみてください。きっと市販ゲームとはちょっとちがった、オリジナルもの独特の楽しさを味わえると思うのです。 
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