格ツク最強理論


「何と言おうとstoic」
紹介ゲーム:A.R.C
 ゲームの難易度について考えてみたいと思います。格闘ゲームにおいては一口に難易度といっても、CPU戦のクリアのしやすさ、コンボのつなぎ難しさ、コマンド入力の難しさなど様々な要素が絡みますが、今回は対CPU戦にしぼって考えていきます。皆さんはゲームクリアの難しさはどのくらいが適当だとお考えでしょうか。初プレイでもクリアできる程度、練習すればクリアできるレベル、はたまたパターンを覚えやり込むことでクリアに届くレベル…人それぞれいろいろなご意見があると思います。

格闘ゲームに限りませんが、一昔前のゲームたちはそれはそれは難しいもので、パターンにはめる、もしくはパターンを覚えないとクリアが不可能ではないかと思わせる難易度、初プレイクリアなど夢のまた夢…というものが結構あったような気がします。それは特にファミコンのアクションゲームにおいて顕著です。しかしながらそれと同時にそれを乗り越えてクリアした時の感動はものすごいものがあったと思っています。今のゲームと違ってエンディングにものすごい感動が用意されていると言うわけではなく(もちろん凝ったエンディングもたくさんありましたが)、何事も無かったかのように2周目が始まるゲームもありましたが、プレイヤーにとってはゲームクリアによって「無理だと思っていた壁を乗り越えた達成感」が手に入り、それこそが最も大切だったのです。決して今のゲームに達成感が無いと言っているわけでは無く、難易度は高いほどよいと言うつもりもないのですが、超難易度のゲームをクリアした夜がよく眠れるあの感覚は今思い出しても気持ちの良いものです。友だち同士で同じゲームをプレイしていて先にクリアしようものなら、もうその子は一躍ヒーローだった…そんな 時代もありました。

今回紹介する格ツク作品「A.R.C」。システム的にはとてもシンプルに出来ており、操作面に関しては難しく考えずともサクサク遊べるようになっています。その分CPU戦は1面から難しいのか…と言われるとそうでもなく、自分の持ちキャラの性能さえ覚えてしまえばストーリークリアまではそこまでの練習をしなくてもたどり着くことができます。こうやって書くと、前述の超難度のゲームと何の関係も無いように見えますが、実は本作品には超難度のステージが隠れています。それは本編をクリアした後のエクストラステージ。誰が出てくるのかは敢えて伏せておきますが、その隠しキャラの強さがただ事ではありません。本編の敵とは比べ物にならないほどの反応力、一旦ヒットすると(ガードできてもガードクラッシュからヒットして)そのままKOまで持っていくかのようなラッシュ、そして発動即敗北の画面全体攻撃…。たった一つのコマンドミス、読み違い、タイミングのズレが即刻KOに直結する様はまるでかつての超難度のゲームをプレイしているかのようです。ワンミスや甘えを一切許さないストイックな戦いに、幾十にも重ねたコンティニューの果てに勝つことが出来た時の嬉しさは、とん でもなく大きかったです。

「A.R.C」はラストの難易度以外にも、キャラクターが強烈な個性を(見た目だけでなく性能面においても)持っており、しかも各キャラにストーリーモードもついているので、1キャラクリアしたら次は別キャラで…と長く楽しむことが出来ます。その反面共通システムは前述の通り難しいものが少なくシンプルな作りで、初めて格闘ゲームに触るという方にわかりやすい作り。慣れてきたら「バーニア」「現空間バスター」などといった格闘ゲームには珍しい独特のネーミングに彩られたシステムに手を出してみるのも面白いでしょう。

アーケードゲームとは違い、いくらコンティニューしても無料。これは格ツク作品の大きなメリットと言えます。数多の壁を乗り越えた往年のプレイヤーも、「今のゲームはぬるい!」と嘆くテクニシャンも、「いったいどれだけ難しいの?」と興味をもった方も、そしてもちろん格闘ゲーム初めての方も…。無理かと思わせる壁の存在、何回負けてもストイックに挑み続け、そしてそれを乗り越えた時の感動をぜひ味わってほしいと思うのです。
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