アドベンドカレンダー特別寄稿「100日後に完成した作品」 |
「RPGツクールMZ」発売から、早いもので4ヵ月近くが経過しました。 そしてこの度、自作品「ディジットパーティー」を公開することが出来ました。ラストまで形になったのは ツクールMZ発売から数えてちょうど100日目。今年(2020年)話題になった「100日後に〜」という 言葉にあやかって「100日後に完成した作品」として、本作を作成するにあたって心掛けたこと、また 新ツクールであるRPGツクールMZで利用した機能・仕様等も交えて語っていければ…と思っています。 ※この記事は作成当時の様子を伝える意味も含め、一部スクリーンショットには開発途中のものを 敢えて使用しています。実際のゲーム画面と一部異なる可能性もありますが、ご容赦ください。 |
1.何はなくともキャラ創り! |
2.MZ素材は独自の香り |
3.ツクールMZは「何故か」軽い、だけど…。 |
4.絶好のコンテスト |
5.「らしさ」は残していい。 |
6.かゆい所に手が届くMZの仕様 |
7.生きていた完成学 |
8.時間はどこから作るのか(そして何処へ行くのか) |
9.ゲームを彩る「音楽」 |
10.100日後に完成した作品 |
1.何はなくともキャラ創り! |
ツクールMZは発売初日に(先行予約はしていたので)ダウンロードしてすぐ起動。まずは新しくなった キャラクター生成機能をひたすらいじっていました。予約特典でキッズジェネレーターパーツもあり、 今回の作品は小学生が主役なのでこれを使わない手は無い、という感じでした。 子どもパーツはツクールMV版でも発売されていましたが、個人的には今回のパーツの方が好みだったので これを使ってメインキャラクター達を作成。ピッタリした服装が無い分は格ツク時代のドット絵技術も 活かして自分で改良していきました。全キャラやっても良かったのですが、主人公の改変だけで 2日もかかってしまったので、3日目の週末(初日木曜で翌日金曜、なのでその翌日が週末)からイベントに 着手する…という感じでした。ちょっと改良するだけで数時間かかるのがドット絵作業の凄いところです。 主人公・レイレイ。「令和」の名を冠していながら服装は昭和後期の少年のオシャレを彷彿とさせる感じに。 「自分の生きた時代と、今の時代の融合」が本作のコンセプトの1つでもあります。 |
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2.MZ素材は独自の香り |
キャラ作成が終わり、マップを組みイベントを作り…と進めていく折、Twitter等を見るとMZに対する いろいろな意見を目にしました。割と多かったのは「基本的な素材が入っていない」というもの。 なるほど見てみると、マップチップも無難にまとまっていたイメージのあるツクールMVとは対称的に、 割と個性的(この表現が正しいかは分かりませんが)なチップしているなあ…という感じはしました。 自分としてはそこまで気にならなかったので、ほぼそのまま使っていましたが。ただ敵グラフィックで スライムなど「ツクールMVには入っていたのにMZに入っていないモノがある」のにはちょっと困りました。 ただ困ったのもちょっとだけで、ツクールMZの予約特典としてツクールMVが付いてくること、既に自分は ツクールMVを所持していたこともあって「必要なのに無い素材はMVから引っ張って来ればいいや」と気楽に 考えていましたし、最終的にそれでどうにかなりました。そういう意味では 「ツクールMZ単体でも作れないことは無いけれど、ツクールMVも持っていた方が幅広く素材を使える」 というのは事実で、そのためのツクールMV付属、そして素材規格が全く同じ、だったのかもしれません。 ※ただしMVからMZへ素材を移す場合、同ファイル名だと上書き保存になってしまうので要注意! 自分の場合、ツクールMVから主に引っ張ってきたのはBGMとモンスターグラフィック。 MVとMZの素材が混在した敵構成…なんてのもザラにあります。 |
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3.ツクールMZは「何故か」軽い、だけど…。 |
ツクールMZの要求スペックはツクールMVよりも高く、MZを買った当時の自分のPCは動作環境を満たす ギリギリでした。ところが実際使ってみるとツクールMZの方が動作が軽いという感じでした。 要求スペックギリギリで動かすのでもっと重いと思った自分の予想は、いい意味で裏切られました。 特に差が大きいのは起動時間。ツクールそのものもそうですが、テストプレイでゲームを立ち上げる スピードも段違いで早かったです。MZ発売31日目に新PCに乗り換え、MVもMZもほぼ同じ速度で立ち上がる ようになりましたが。ただ気になった(今も気になっている)のは、時々一気に重くなって強制終了する ことがある事。一番多いのはイベント作成時。「文章の表示」で既に作ったものを編集するときと、 「場所移動」で行き先を指定しようとした時が特に多かったです。頻度はそこまで高くなかったので、 こまめに保存することで何とかなるレベルではありますが、バージョンアップで直ると嬉しいです。 「場所移動」で移動先を選ぼうとマップを開くところで、こんな感じで真っ白になってフリーズ。 しばらくすると前触れなくツクールMZが強制終了する…というものです。 |
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4.絶好のコンテスト |
ディジットパーティーの制作モチベーションを大きく後押ししたのが、プハリコさん主催で行われた ツクールフォーラムでのレビューコンテストです。〆切が9月30日で、未完成作品でもOKということで、 迷いましたが参加することにしました。これも本当に偶然なのですが、ちょうど区切りのいい所まで 作り切れそうなタイミングで〆切だったので、そこまでの完成度でどれだけの評価をもらえるかも 気になっていました。結果として提出したのはMZ発売から38日目。〆切には3日ほど余裕がありました。 それなりの高評価をいただき「完成が楽しみ」とも言っていただけました。ありがとうございます。 闇雲に作りかけをアップロードしてもいい事は無いとは思いますが、ある程度作った時点で見てもらうのは、 とても有益に感じます。ただし意識したのは「これは通過点であって決してゴールではない」という事。 それを忘れないために、一区切り付いた時点で出すのではなく、敢えてその先を少し作って終わる、 という形にしておきました。具体的には次の展開で登場するキャラクターたちの作成と顔見せまで。 こうすることで「次はこれを作るぞ」という継続意識を持ちつつ一区切りを付けることが出来ました。 ピッタリ一区切りで終わるのではなく、敢えてそこから一歩進んだところで区切る。 いい意味での「中途半端感」がモチベーションの継続に繋がりました。 |
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5.「らしさ」は残していい。 |
前述のフォーラムレビューコンテストに投稿が終わった後は、自作品の制作ペースはそこそこにして レビューコンテスト参加者さんの作品をプレイしていました。(MZ発売から40日あたり)、結果として これが自作品制作のモチベーションアップ、あと制作姿勢のブレなさにも影響を与えたと思います。 これは本当に偶然なのですが、参加作品の多くがそこそこ以上のボリュームを持つ大作になり得るもので あったこと、そして参加者さんの多くが、既に作品を1つ以上持っていてその作者さんの作風が 分かっていたことがとても大きいです。特に「作者さんの作風」についてはほとんどの作品が その作者さんの作風そのままで作品が作られていて、いい意味での「いつもの〇〇さん節」が出ていた、 そしてそれが面白い。時代で色々と求められる作品が変わってきても「らしさ」は変えなくていい、 この確信が持てたことで自分のその後の制作にも自信が持ててきたように感じます。 …というワケで今回のディジットパーティーは、いい意味で「いつもの夢幻台節」を炸裂。 「らしさ」を前面に押し出した作品に仕上げました。 「らしさ」は残していい、と確信してからは制作ペースが上がった気がします。 相も変わらずのネタ満載の作品を楽しんでいただけたら幸いです。 |
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6.かゆい所に手が届くMZの仕様 |
無いと絶対ダメ、ということは無いのですが「あってすごく便利」という機能がツクールMZでは 沢山搭載されています。ゲーム本編でそれが明るみになることはないのですが、制作に関して とても役だった機能をいくつか紹介します。まずはプレビュー機能。イベントの「移動ルートの設定」で キャラクターを動かしたき、この機能の利用でどこまで移動するかがテストプレイしなくても 分かるようになっています。プレビューは他にもイベントでアニメーションを配置するときにも表示。 これでテストプレイをしたり、アニメーションをわざわざ確認したりしなくても済むようになりました。 1回当たりの作業時間短縮量は大したことが無いですが非常に繰り返し使う要素のため、加算されれば かなりの労力削減になったと思います。次に「数値の自動変換機能」。全角で数値入力した場合、 自動的に半角に直ってくれます。敵ステータスの設定の時、モンスター名→ステータス数値入力と 続けて入力するときにいちいち入力を切り替えなくても済む、これは地味に大きいです。 あとはマップ作成でのレイヤー機能。まだ完全に使いこなしているとは言い難いですが、この機能で MVでも作れないことは無かったけど難しかった「見えない迷路」も比較的簡単に作れました。 当初はプラグイン周りやアツマール関係など、MVで出来ていたことがMZで出来ない、ということも ありましたが、これもバージョンアップやプラグイン作者さんのおかげで解決。今後もどんどん 使いやすいツールになっていきそうな気がします。 プレビュー機能、自動変換機能、レイヤー機能…「かゆい所に手が届く」機能が満載です。 |
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7.生きていた完成学 |
100日で完成という目標、ちょっとペース的に怪しいと不安になった事もありました。大体発売から 2ヵ月、60日が経過したあたり。日記「夢幻台レポート」でもちょっと弱気な文章を残しています。 でも何故だか「最終的には何とかなるだろうな」という気持ちもどこかにあったのも事実。 それは自分に一応「完成までのノウハウは頭に入っている」からだったと思います。結構昔の 記事になってしまいますが、それは「夢幻台のゲーム完成学」(←検索すれば出て来ます)。 改めて見返してみるとそこでも書かせていただいた「作っていく中でゴールは変えてもいい」 「迷ったら『とりあえず保留』で次を作る」「こだわりと妥協を天秤にかける」などなど、 相も変わらずこの思想に沿ってツクってるなあ…と我ながら感心します。そして結果として 作品は完成しました。このスタイル本当に正しいの?と聞かれれば「でも完成したでしょ?」と 自信をもって言えることが出来るかなと自負しています。宣伝になってしまいますが、 興味のある方は「夢幻台のゲーム完成学」の方もぜひご覧になってください。 実は当初に考えていた以上にボリュームは多くなっています。 何が追加されたエピソードなのかは…ご想像にお任せします。 |
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8.時間はどこから作るのか(そして何処へ行くのか) |
長編制作で、かける期間が100日。これを短いと取るか、長いと取るかは難しい所です。 さらに言うとこの期間中も、全てをツクールに捧げたかと言われればそうでもなく、ツクールを 起動していた総時間を考えると、他のツクラーさんよりも少ないかもしれないと思います。 その代わり、ツクールを起動している間は制作に集中する、という感じで短時間集中で作りました。 自分はいつもこの作り方なのですが、ツクール以外の事で遊んだり、仕事がそこそこ忙しかったりと ツクールに費やす時間が短い方が集中して取り組め、効率がいい気がします。反対に時間が沢山ある 休みの日の方がダラダラ作ってしまうことが多いです。もちろんそれなりに時間のかかる制作内容も あるのでそういったものは休みにまとめて行うことが多いですが。なので持論ですが「ゲーム制作に 集中するために何かを犠牲にする、我慢する」スタイルはあまりいい結果を産まないと思っています。 ツクール制作をガンガン進めるためにも、ツクール以外の好きなことがあるならそれもガンガンやろう、 結果としてそれが近道だったりしますし、結果として100日という制作期間に間に合いました。 アイデアを練るのはもっぱら、ツクールを起動して「いない」時の方が多かった気がします。 特に多かったのは夜、布団に入ってから練るまでの時間と、30分ほどある通勤バスの間でしょうか。 |
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9.ゲームを彩る「音楽」 |
一通り終わりまで作り終わったのは96日目。そこから通しのテストプレイを始めました。 予想プレイ時間15時間の通しプレイ、しかも平日という事でかなり急ピッチでの調整でしたが、 そんな中でも思わずプレイしながら聞き入ってしまったのはツクールMZ素材のBGM。 もともとツクールシリーズのBGM素材は名曲が多いのですが、今回もかなりいい曲ぞろいでした。 もちろんシーンと合うものを選んでいくと、長編だけに足りない場面も出てきたのでその時は ツクールMVのものを流用することもありましたが…。さらに今回は原曲の他に「re」や「New」と 銘打たれた特典素材もあったため、かなり幅広く音楽を選ぶことが出来ました。 個人的なお気に入り曲は沢山あるのですが、かなりのMZ曲をゲーム本編で使っているので、 ぜひプレイしながら聞いて、お気に入り曲を見つけてもらえたら自分としても嬉しく思います。 同じ曲でもリミックスされるとだいぶ雰囲気が変わるものも…。テンポの調整でさらに幅広い 調整が可能なのも◎。音でもゲームが楽しめるのは嬉しい所です。 |
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10.100日後に完成した作品 |
100日後に当たる11月27日に一通り出来上がり。翌28日に先行試写会版としてRPGアツマールで 限定公開を開始しました。構想はMZ発売前から練っていましたし、限定公開後に調整した部分も (今回はかなり少なかったですが)あったので、厳密に言えば100日間で完成、というには違和感も あるかもしれません。でもとりあえず自分の目標としては達成とみなしていいかなと考えています。 そしてその作品「ディジットパーティー〜Melt Zone〜」の正式公開は…、ズバリ「今日」! (恐らく)RPGツクールMZ作品としては初の、長編RPG。予想プレイ時間15時間。総イベント数100。 100日間で築き上げた「ネタとシリアスの狂い咲き」心行くまでお楽しみいただけたら幸いです。 ブラウザ版はこちらから。皆様のプレイ、心よりお待ちしております! ダウンロード版はこちらから。お好きなスタイルでプレイ可能です。 |
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終わりに…。 |
ゲーム制作のノウハウなのか、RPGツクールMZの紹介なのか、どっちつかずの中途半端な文章に なってしまっていたら申し訳ありません。ただ「こんな形で長編ができるんだよ」とか、 「ツクールMZってこんな感じだよ」というのが少しでも伝われば幸いです。 また、本日公開ということもあり、ディジットパーティーの内容についてはほとんど触れませんでした。 これについてはこのアドベンドカレンダーの大トリの日、25日にまた夢幻台枠があるので、 その時に語らせていただければ…と考えています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。 |
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